ニュー・シネマパラダイス

 立て続けに映画の話になっちゃうんだけど、今日は「ニュー・シネマパラダイス」の話。「海の上のピアニスト」と同じジュゼッペ・トルナトーレ監督作品。年末にKBCシネマの予告編でみたのと、LDを観ずにおいていたのと、ある学生がもっとも好きな映画だといったので、みる条件がそろった次第(笑)。最初はホームシアターで観ようかと思ったけど、せっかく映画館でやっているのだからと思い立ち、唐突にレイトショーへ繰り出す。いつもより多い客。やっぱりこの映画が人々を惹きつけるのだろう。

 主人公トトが映画館「パラダイス座」と共に成長していく。それを暖かく見守る映写技師のアルフレードとの交流がメインテーマ。詳しい内容はいつものように皆さん各自観て下さいね。

 この映画でも「海の上のピアニスト」でも、この監督は回想シーンの使い方がうまい。というかほとんど回想シーンなんだけどね。なにか想い出を大切にしたいというメッセージが感じられる。でもその想い出はどっちの映画でも爆破されるんですね。この辺も何か想い出はやはり想い出で、そこに安住してはいけない。次の一歩を踏み出す大切さなんかを感じさせる。この辺、劇中でアルフレードがトトに村に安住してはいけない。村に帰ってきてはいけないと再三伝えるところからも感じられる。

 2つの台詞が心に残ってます。1つは「小さい頃、映画を愛したように自分の仕事を愛しなさい。」というアルフレードの言葉。想い出を大切にしながら、自分の好きな道を一生懸命進みなさいというメッセージよように感じられました。もう1つは「お前のことを本当に愛してくれる女性をお前が愛せれば、母さんはそれで満足だ。」という台詞。成長し、有名になったトトのもとには、様々な女性が現れるが、愛し合いながらも音信不通になってしまったある女性のことが忘れられないトトへの、愛情深い言葉。

 映画館にやってくる人々。いろんな日常を抱えてやっている人々。そういうことを表現している映画。そんな映画を映画館で観ている人々。その中に私もいたわけで、始まる前、思わずあたりを見回してしました。なんとなくまだぎこちなく、たぶんつき合いだしたてのカップル。お互いにあまり意識をしてないけどなんか心が通じ合っているようなカップル。手作りのおにぎりをほおばりながら、上映を待つ初老の夫婦。何も飲まず何も食べずただじっと上映を待つ中年のおじさん。ちょっとうるさいなあという印象は拭えない女の子3人組。おっと、女性1人できている人も何人かいるぞ。どっきっとしてもまあ何も起きないんだけど(^_^)。自分はどう写ってるんだろう。ジントニックを飲みながら、音楽を聴きながら、上映を待つ英国紳士か(笑)。みんなどんな想いを胸にこの映画を観ているんだろうなんてこと久々に考えた。

 あと余談だけど、この監督、子役の使い方がうまい。というか、いい子役を使うなあと。

メモ:(62)
 「ニュー・シネマパラダイス」(1989 イタリア 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ)。